暑さもようやくひと段落する頃ですが、台風が近づいたりとまだまだ天気予報が気になる時期ですね。
さて、本日は吉田美統 釉裏金彩蔦文花瓶をご紹介します。

釉裏金彩とは金箔や金泥などにより器地に文様を表し、その上から透明釉を掛けて焼き上げる装飾技法です。吉田美統はこの技術により重要無形文化財(人間国宝)に認定されています。
こちらの作品では、いきいきと生い茂る蔦の葉が幅最大値24.5×高さ23(cm)ほどの花瓶一面に釉裏金彩によって美しく表現されています。
葉の部分では厚めの箔と薄めの箔が使い分けられていることで、平面に描かれた蔦の模様に遠近感が生まれています。

この箔の厚みに変化を持たせる加飾法は、従来の釉裏金彩にはなかった吉田オリジナルの技術です。
背景の器面は、上部の薄黄色の色味から底面の若葉色にかけてグラデーションになっており、蔦の金色に馴染みつつも華やかに文様を引き立てています。

丸みを帯びた柔らかい雰囲気の造形に、卓越した技術による蔦文様が美しい、爽やかな逸品です。
こちらの作品は店頭で展示中です。金彩の見事な技法をぜひ間近でご覧くださいませ。
吉田美統 (よしたみのり) 略歴
1932年 石川県小松市の九谷焼製造を家業とする窯元錦山窯に生まれる
1951年 錦山窯を継ぐ
1974年 第21回日本伝統工芸展初入選
1981年 日本工芸会正会員
1984年 第31回日本伝統工芸展奨励賞
1992年 第39回日本伝統工芸展高松宮記念賞 石川県指定無形文化財保持団体九谷焼技術保存会会員となる
1995年 日本陶磁協会賞
2000年 第47回日本伝統工芸展日本工芸会保持者賞
2001年 紫綬褒賞 重要無形文化財「釉裏金彩」保持者に認定される
2006年 財団法人石川県美術文化協会理事を務める
大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー 雅翔堂塩谷
営業時間 10:00~20:00(阪急うめだ本店に準じます)
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