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杉本貞光 伊賀花入

こんにちは!ゴールデンウィークが終わり、少し暑さを感じる頃になりました。

本日は爽やかな薄緑色が印象的な杉本貞光の花入をご紹介します。

杉本貞光 伊賀花入

重要文化財である、安土桃山時代の伊賀花入(銘「からたち」)を写した形で、伊賀焼らしい一対の耳がつき、破れた口縁部が個性的な力強い作品です。

口縁部

内側に向かって破れています

また、三角形に欠けた口縁部の破片が胴の背面上部に付着している点も再現されています。

末広がりの胴部は六角に面取りされており、流れる薄緑のビードロ釉と、土味がしっかりと残るコゲの対比が印象的です。

ビードロ釉の流れや火色の出方など、見る角度によってそれぞれ違った表情を持っており、自然な味わいを楽しむことができます。

こちらの作品は店頭にて販売中です。お出かけの際はぜひお立ち寄りくださいませ。


杉本貞光 略歴

1935年  東京に生まれる

1968年  信楽山中に穴窯築窯

1974年  大徳寺立花大亀老師よりご指導を受け今日に至る

        沖縄海洋博にレリーフ制作(レリーフ制作を終える)

1979年  大徳寺・如意庵にて個展裏千家にて個展

1998年  香雪美術館にて信楽展出品

1991年  ニューヨーク・ロックフェラーセンター・ギャラリーゼロにて

       アメリカ初個展

1992年  吉兆・湯木美術館(大阪)に作品が収蔵される

1993年  ミュンヘン・ギャラリーフレッドハーンスタジオにてドイツ初個展

1994年  エール大学美術館(アメリカ)に作品が収蔵される

2002年  京都・建仁寺晋山記念として井戸茶盌を納める

        台湾台北佛光美術館にて中日韓国際陶芸展招待出品

韓国利川世界陶芸センターにて国際陶磁ワークショップ招待出品作品が収蔵される

2003年  韓国霊岩陶器文化センターにて韓国陶芸展招待出品作品が収蔵される

        東京庭園美術館にて「現代日本の陶芸・受容と発信」に出品

2005年  滋賀県立陶芸の森陶芸館に作品が収蔵される。渋紙手、高麗黒、青瓷制作完成。

2006年  伊賀焼専用の穴窯築窯

2007年  志野、織部、制作完成

2008年  クラーク日本美術・文化研究センター館(アメリカ)に作品が収蔵される

2011年  蕎麦、伊羅保、制作完成野村美術館(京都)にて個展

2012年  ロサンゼルス・カウンティ美術館日本館(アメリカ)にて

作品が展示されるフランクロイド・ギャラリーにて個展

2013年   野村美術館(京都)にて個展

2014年   阪急うめだ本店にて個展


大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー 雅翔堂塩谷

営業時間 10:00~20:00(阪急うめだ本店に準じます)

Tel: 06-6313-7618

Mail:umeda@shiotani16.jp

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壷.花入.花生

初代諏訪蘇山 青瓷鳳凰耳花入

桜の見頃も過ぎあっという間に葉桜の季節ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

本日は初代諏訪蘇山の作品をご紹介します。

「万声」の名を持つ青磁鳳凰耳花生(国宝、和泉市久保惣記念美術館蔵)をモデルとした作品です。この「万声」は南宋時代(13世紀)の中国で盛んに活動を展開した窯の一つ、龍泉窯で作られたものとされています。

緑がかったやや暗めの青瓷釉が、涼しげな静謐さを感じさせます。

鳳凰の頭を模した耳には、冠羽の流れやギュッと閉じたくちばしが表現されており、凛々しい鳳凰の表情が見てとれます。

青瓷特有のひんやりとしたモダンな雰囲気が、これからの季節、和室・洋室どちらに置いても爽やかに楽しんでいただけそうです。

こちらの作品は店頭にて展示中です。ゴールデンウィークのお出かけの際にはぜひ当店へお立ち寄りください。


初代諏訪蘇山 略歴

1851年 石川県金沢市に生まれる
1873年 任田徳次(彩雲楼旭山)に陶画法を学ぶ
1875年 東京で作陶を開始
1879年 石川県勧業試験場の製陶助手となる
1887年~1896年 大病を患い蘇生したことから、号を「蘇山」とする
1900年 京都で錦光山宗兵衛の窯に勤務
1907年 独立、京都五条坂で作陶を開始
1914年 朝鮮李王家嘱託として高麗古窯の調査を行い、再興依頼を受けて窯を完成
1917年 帝室技芸員を拝命 翌年には宮内省より製陶のご用を受け制作を行う

1922年 逝去


大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー 雅翔堂塩谷

営業時間 10:00〜20:00(阪急うめだ本店に準じます)

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三代山田常山 常滑自然釉三耳壷 

こんにちは!本日は、最近入荷しました三代山田常山の作品をご紹介します。

三代山田常山 常滑自然釉三耳壷

三耳の可愛らしい小壷です。

幅最大値6.2×高さ6.8(cm)と極小ながらも、自然釉の力強い土味が存在感を感じさせます。

石混じりの土の風合いや、常滑焼特有の深い緑の自然釉の流れが味わい深い逸品です。

艶やかな光沢の玉だれや窯変が角度によって違った表情を持っています。

自然釉による光沢のある肩に、三つの耳がついています

本作は山田常山が常滑焼作家として確固たる評価を得ていた、人間国宝に認定される少し前(1975-1998年頃)の作品です。

花入としてもバランスが良く、短く切った花を差しても楽しんでいただけます。洋花・和花問わず花や枝の色味と調和し、さりげなく引き立ててくれます。

洋花にもよく馴染みます

こちらの作品は店頭にて展示中です。

ぽかぽか陽気の日もどんどん増えてまいりました、春のお出かけの際にはぜひお立ち寄りくださいませ。


三代山田常山 略歴

大正13年(1924)愛知県常滑市に生まれる

昭和16年(1941)愛知県立常滑工業学校窯業科卒業
在学中より祖父・初代 山田常山に師事

昭和21年(1946)父・二代 山田常山に師事

昭和33年(1958)第5回日本伝統工芸展初入選
ブリュッセル万国博覧会にてグランプリ受賞

昭和34年(1959)第7回生活工芸展 第一席 朝日賞受賞

昭和36年(1961)三代 山田常山襲名

昭和38年(1963)財団法人 日本工芸会正会員

昭和45年(1970)日本万国博覧会 出品

昭和48年(1973)フランス 第3回ビエンナーレ国際陶芸展名誉最高大賞受賞/渡欧

昭和49年(1974)日本陶芸巨匠大展 出品

昭和50年(1975)常滑「手造り急須」の会 会長

平成 2年(1990)「心と技ー伝統工芸名品展」
北欧巡回展及び帰国展招待 出品

平成 5年(1993) 平成5年度日本陶磁協会賞 受賞


大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー 雅翔堂塩谷

営業時間 10:00〜20:00 (阪急うめだ本店に準じます)

Tel: 06-6313-7618

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島岡達三作品 入荷お知らせ

春風が心地よい季節になりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

先日までの酒器展の期間中はたくさんのお客様にお越しいただき、誠にありがとうございました。

さて、当店ではただいま島岡達三作品を多数取り扱いしております。

島岡の特色である縄文象嵌の技法を用いた瓶や茶器、酒器に加え、赤絵の皿や方壷など数点が新しく入荷しております。

瓶、方壷、角皿、丸皿、香合、茶器、酒器など

写真の作品以外にも、箱無しの商品をお手頃価格での取り扱いもございます。

その他、柴田雅章、河本賢治、エドワード・ヒューズなど、現代の民芸作家による作品も販売中です。民芸の焼き物や日常使いの器をお探しの際はぜひお立ち寄りくださいませ。


島岡達三 略歴

1919年   東京都港区で三代続いた組紐師、島岡米吉の長男として生まれる
1939年   東京工業大学窯業学科に入学
1946年   益子に移り、濱田庄司に師事
1953年  益子に住居と窯を設ける
1962年  日本民藝館新作展にて日本民藝館賞受賞
1980年  栃木県文化功労章を受章
1994年  日本陶磁協会金賞受賞
1996年  国の重要無形文化財「民芸陶器(縄文象嵌)」保持者の認定を受ける。
1999年  勲四等旭日小綬章受章
2007年  逝去。享年88歳。


大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー 雅翔堂塩谷

営業時間 10:00〜20:00(阪急うめだ本店に準じます)

Tel:06-6313-7618 Mail:umeda@shiotani16.jp

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香炉

象嵌彩塩釜アマゾン香櫨

今井政之(1930〜2023)
略歴
1930 大阪府生まれ
1952 楠部彌弌に師事
1965 日本陶磁協会受賞
1989 ペルー共和国クスコ美術学校客員名誉教授就任
1998 毎日芸術賞受賞
2004 日展常務理事就任
2012 広島県竹原市名誉市民の称号を受ける
2018 文化勲章受賞
2023 逝去

今井政之は岡山で備前焼の修業を始め、京都で「彩埏」の技法で知られる楠部彌弌に師事しました。また象嵌法の第一人者であります。
「象嵌」とは「かたどり、はめる」といった意味であり、シリア・ダマスカスが発祥の地となる加飾法で、日本には飛鳥時代にシルクロード経由で伝来しました。
一つの素材に異質の素材をはめ込む技法の事を指します。
中でも今井政之は「面象嵌」と呼ばれる象嵌の中でも手間のかかる技法を用いて魚などを表現豊かな作品を生み出してこられました。

さて、当店にございます象嵌彩塩釜アマゾン香櫨ですが、描かれている魚が海外の大きな鯰という事で大変珍しい題材の作品となります。どこか愛らしい表情の正面顔と、悠々と泳ぐ横の姿の2通り描かれおり、どちらも表情豊かな素晴らしい作品です。


特に目の部分が立体的に飛び出しており、まるで生きているかのように感じられます。

 

 

絵だけでなく香櫨のフォルムもドテッと重厚で存在感のあるこの作品、只今店頭にて展示しておりますのでお近くに来られた際は是非ご覧になってみて下さい。

 

大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー
営業時間 10:00〜20:00(阪急うめだ本店に準じます)
Tel:06-6313-7618
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壷.花入.花生

濁手枝垂桜地文六角花瓶

十四代・酒井田柿右衛門(1934~2013)

1934年 佐賀県有田町に生まれる。
1958年 多摩美術大学日本画科卒業。作陶技術を十二代、十三代柿右衛門に師事。
1982年十四代柿右衛門を襲名。
2001年 重要無形文化財「色絵磁器」保持者(人間国宝)に認定される。
2005年 旭日中綬章受章
2006年 有田名誉町民の称号を受ける
2007年 西日本文化賞受賞
2013年6月15日逝去(享年78)

佐賀県有田生まれの十四代酒井田柿右衛門は十二代、十三代が再興した秘宝を若くして受け継ぎました。十二代と十三代が復興させた「濁手」の製陶技術を学びました。
祖父からは絵具の調合と絵付、父からは素地調製、成形と焼成を学びました。
1966年に一水会、西部工業展に入選した事を皮切りに様々な功績を上げ、1971年に「色絵磁器」の重要無形文化財保持者に認定されました。
「濁手」と呼ばれる独特の白素地に、赤絵を基調として草花を描いた作品が特徴的で、伝統を守りつつ時代に合わせて少しずつ変化しているのが十四代の特徴です。

さて、今回ご紹介致します「濁手垂枝桜文六角花瓶」も白い上に柔らかさと温もりを感じさせる柿右衛門独自の濁手に、野生に自生する愛らしい桜の花が伸び伸びと表と裏に描かれています。余白と花との絶妙なバランスが目を引く作品です。

 

またその桜を取り巻くか如く左右の面に描かれた格子柄の文様がモダンで作品の構図を締めています。どの角度から見ても楽しめる作品なのではないでしょうか。

今回のこの作品は店頭にて展示中です。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。

 

 

 

大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー
営業時間 10:00〜20:00(阪急うめだ本店に準じます)
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壷.花入.花生

釉裏金彩椿文花瓶

こんにちは。本日ご紹介する作品は
吉田美統「釉裏金彩椿文花瓶」です。

 

吉田美統(1932〜)

略歴
1932年 石川県小松市に生まれ、本名を稔。
1951年 錦山窯3代を継承して上絵付けや金襴手の技法習得に努める
1963年 九谷焼新作展で県知事賞を受賞
1970年 日本万国博覧会に石川県より選抜され百人一首大花瓶を出品
1974年 日本伝統工芸展入選
1976年 朝日陶芸展で受賞
1979年 釉裏金彩鉢外務省買上作品に選定される
1980年 伝統九谷焼工芸展で優秀賞を受賞
1982年 一水会陶芸展で会員優賞を受賞
1984年 中日国際陶芸展で受賞
日本伝統工芸展で奨励賞を受賞
1992年 石川県指定無形文化財に認定
1995年 日本陶磁協会賞を受賞
2001年 紫綬褒章を受章
重要無形文化財「釉裏金彩」の保持者(人間国宝)認定

明治33年(1900)から続く錦山窯の三代目、吉田美統。
吉田美統は高校在学中、戦後に陶芸修行を始めた。錦山窯は初代、二代と「金彩色絵」、いわゆる「庄三風」とよばれる作品を得意とする窯でした。美統が9歳の時に二代が早世したために、技術は窯の職人から習得していました。
クラフト運動へ傾倒した時代を経て、転機が訪れたのは昭和43年。陶芸作家・加藤土師萌の遺作展で出会った「釉裏金彩」という技法に衝撃を受けました。石川県南部発祥の九谷焼の技法のひとつに、この釉裏金彩があります。この技法は、器の表面に金箔を用いて模様を表現し、その上に釉薬をかけて焼き上げるというもので、昭和30年代に技術が編み出され1966(昭和41)年に人間国宝の加藤土師萌氏らが釉裏金彩と名付けたのです。吉田美統はこれをきっかけに釉裏金彩の世界に入り、誰も手がけたことのない、花や蝶などをモチーフにした具象表現を探究します。
手法確立の模索を始め、数々の苦悩を重ね初出品まで約4年をの月日を費やしました。創意を重ねて作陶し、日本伝統工芸展で初入選。その後も錬磨を続けて独自の釉裏金彩を確立し、2001年には釉裏金彩の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

吉田美統の作品には牡丹や芙蓉といった植物が多く描かれており、今回ご紹介します本作品も椿が可憐に描かれているものとなります。
作品の特徴としては立体感の表現が美しく、写真からもお分かりいただけるくらい金箔の厚みを変えて遠近感を出ております。

こちらは店頭にて展示中です。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。

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壷.花入.花生

正倉院復元三彩渦巻文手付花入

本日は入荷しました、
加藤卓男「正倉院復元三彩渦巻文手付花入」のご紹介です。

加藤卓男(1917〜2005)

略歴
1917年 岐阜県多治見市生まれ 父加藤幸兵衛に師事
1935年 岐阜県多治見工業学校卒業
1961年 フィンランド工芸美術学校修了
1963年 第6回日展で特選北斗賞受賞
1980年 宮内庁より正倉院三彩の復元制作を委嘱される
1983年 岐阜県重要無形文化財に認定
1986年 トルコ・トプカプ宮殿美術館にて個展
1988年 紫綬褒章受章
1992年 伊勢神宮の御神宝「陶猿頭形御硯」を制作
1995年 重要無形文化財「三彩」保持者に認定
2005年 逝去

加藤卓男は若き日に広島で被爆し、白血病を患いながらもフィンランドに留学、そんな中で古代ペルシア陶器の独創的な造形、斬新な色合いに魅力を感じて、西アジアで長年に渡り発掘研究に従事し、滅び去った幻の名陶「ラスター彩」の復元を成功しました。ラスター彩、三彩、青釉などペルシャ陶磁の再現や宮内庁正倉院から正倉院三彩の復元制作を委嘱されます。

また陶芸界最高の栄誉とも言えるMOA大賞を受賞し、重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定されました。

 

さて、今回ご紹介します「正倉院復元三彩渦巻文手付花入」は加藤卓男の中で最も代表的かつ重要無形文化財保持者にも認定された「三彩」の作品です。遥か遠くシルクロードに想いを馳せ異国を感じさせるような鮮やかな発色が抜群に美しく、花を入れる花瓶というよりこれだけで芸術品として堂々とした出立ちといえます。もちろん花を入れて頂いても茎や葉を連想させるような緑と黄色合いは、花の美しさを際立たせ、華やかにかつ豪華に魅せてくれる作品ではないでしょうか。

また「渦巻文」という名の通り、渦巻き状の模様が入っており至る所に施されています。この渦巻が隠れたアクセントになっており絶妙なバランスで見る人も楽しませてくれる非常に素晴らしい作品です。

和室はもちろん洋室に置いてただいても間違いなく馴染む事間違いなしのこちらの作品は店頭にて展示中です。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。

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香炉

赤繪鳳凰文香爐

本日は福島武山「赤繪鳳凰文香爐」をご紹介します。

福島武山(1944〜)

略歴
1944年 石川県金沢市生まれ。
1963年 石川県立高校デザイン科卒業。
1998年 第23回全国伝統的工芸品コンクールのグランプリ・内閣総理大臣賞等受賞
2003年 石川県指定無形文化財(九谷焼技術保存会会員)認定。
2008年 九谷焼伝統工芸士会会長に就任。
2021年 瑞宝単光章受章

幕末から明治期に石川県で盛行した、九谷赤絵細密画。それを受け継ぐ第一人者で現代に伝える名工 福島武山

 

作品の特徴としては赤色の細かな線で、小紋・花鳥・風月・人物を描き上げられています。
ポイントとして一部金彩を使用していますが、ほぼ赤絵のみで仕上げる為、線の太さの均一さと赤色の濃淡の均一さが見事なまでに描かれています。

さて本日紹介します「赤繪鳳凰文香爐」も純白の素地の上を細かな赤色の線で描かれた鳳凰をモチーフにした香炉になります。この命を吹き込まれたかのような鳳凰の絵は、躍動感があり大空を威風堂々と羽ばたいているようです。

また蓋も香炉のモチーフとしてポピュラーな蓮の花が描かれており、精緻で立体感を見事に表現されております。

 

実はこちらの作品は、皇太子殿下御成婚記念に制作された希少で貴重な作品です。

 

店頭にて展示中です。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。

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壷.花入.花生

色絵薄墨草花文花

こんにちは、本日紹介します作品は
十三代・今泉今右衛門「色絵薄墨草花文花瓶」

十三代・今泉今右衛門(1926〜2001)

十三代今泉今右衛門は江戸時代から続く「鍋島焼」の伝統を受け継ぎつつ、現代的な磁器をつくり続けました。その中でも色絵をほどこした「色鍋島」と呼ばれる磁器で数々の名作を生み出していました。
東京芸術大学を卒業しピカソやマチスの影響を受けた作品を作り続けていたそうです。そんな現代的なアートの影響を受け30代後半になるとずっと身近にあった日本の色鍋島の中にも現代的な美しさがあることに気づき、鍋島焼の「現代化」に取り組みました。現代鍋島焼の薄墨・吹墨・緑地の技法を確立し伝統工芸に新たな可能性を生み出しました。文様のデザインにもいままでの伝統の域を超えた型破りな工夫を加え、色鍋島の新たな世界を切り開き、平成元年に重要無形文化財「色絵磁器」保持者(人間国宝)に認定されました。

さて今回紹介します「色絵薄墨草花文花瓶」は酸化ウランを使って表現される「薄墨」の技法を使用した画期的な作品になります。初期伊万里の吹墨技法のコバルトを代えて、グレーで発色する酸化ウランであらわし、渋い滋味な調べの地色を完成させて落ち着きのある色絵を浮きあげる独特な加飾法。
それにより伝統の鍋島焼ならではの色彩描写にさらに表情豊かに陰影をもたらしています。

描かれいる草花が大変美しく描かれており、まるで花瓶に生えたかのように感じられます。お花を入れて飾って頂いても、花瓶単体でも楽しんで頂ける作品ではないでしょうか。

こちらの作品は只今店頭にて展示中ですので、お近くにお越しの際は是非店頭にてご覧下さい。

略歴
1926年 佐賀県有田町に十二代今右衛門の長男として生まれる
1949年 東京美術学校(現芸大美術部)工芸科卒業
1965年 日本工芸会正会員推挙
1975年 十二代死去により十三代今右衛門を襲名
1986年 紫綬褒章受賞
1987年 日本工芸会常任理事推挙
1989年 重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定
1999年 勲四等旭日小綬章受章
2001年 逝去

大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー
営業時間 10:00〜20:00(阪急うめだ本店に準じます)
Tel:06-6313-7618
Mail:umeda@shiotani16.jp