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十三代今泉今右衛門 色絵薄墨草花文香炉

こんにちは!だんだんと夏の訪れを感じる季節になってきましたね。

本日は十三代今泉今右衛門 色絵薄墨草花文香炉をご紹介します。

十三代今泉今右衛門 色絵薄墨草花文香炉

十三代を襲名後に確立した「薄墨」の技法を使った作品です。

これは中国・明代末の古染付や初期伊万里に見られた、呉須を吹き付ける「吹墨」をさらに進化させた技法で、墨の材質を変えることでより落ち着いたグレーを表現する装飾法です。

素地全体にこの灰鼠色を施す作風は十三代による鍋島の新境地でした。

こちらの香炉も、柔らかい薄墨の色味がモダンな印象を与えます。

三方に描かれた草花の色絵は、華やかさを添えながらも、落ち着いた赤と緑が用いられているためグレーともよく調和しています。

洗練されたモダンな雰囲気です

また、火屋には吉祥文様でもある雲の形の透かしが入っています。

文様は一つ一つが細かく描き込まれています

全体を埋める花びらや葉は流れるようなリズムを感じさせつつ、一枚一枚が縁取りされ丁寧に描かれた、とても手のかかった作品です。

こちらの作品は店頭にて展示中です。ご来店の際はぜひこの繊細な文様と色彩の組み合わせをご覧ください。


十三代今泉今右衛門 略歴

1926年(大正15年)12代今右衛門の長男に生まれる

1949年(昭和24年)東京美術学校(現芸大美術部)工芸科卒業

1957年(昭和32年)日展入選(~1959年)

1958年(昭和33年)佐賀県展にて最高賞受賞

1959年(昭和34年)佐賀県展依嘱

1962年(昭和37年)日本伝統工芸展初入選

一水会陶芸展入選

1963年(昭和38年)一水会陶芸展にて「一水会会長賞」受賞

一水会陶芸部会員推挙

1964年(昭和39年)欧州、米国陶芸視察

1965年(昭和40年)日本伝統工芸展にて「日本工芸会会長賞」受賞

日本工芸会正会員推挙

1966年(昭和41年)3ヵ年間米国にて「ジャパンアートフェスティバル展」出品

文化庁主催 日本伝統工芸秀作展に「色絵手毬花文鉢」出品

京都国立近代美術館「現代陶芸の新世代展」招待出品

1968年(昭和43年)京都国立近代美術館にて「色絵笹輪文鉢」買い上げ

1970年(昭和45年)フランス、ヴァロリス市第2回国際陶芸ビエンナーレ展「色絵かるかや文鉢」招待出品

京都国立近代美術館「現代の陶芸、ヨーロッパと日本展」招待出品

1971年(昭和46年)文化庁主催 日本伝統工芸秀作展に「色絵笹輪文鉢」出品

今右衛門陶房の技術者にて「色鍋島技術保存会」をつくり12代の会長補佐となり、国の重要無形文化財の総合指定を受く

1972年(昭和47年)東京国立近代美術館にて「色絵かるかや文鉢」買い上げ、陳列

1974年(昭和49年)一水会陶芸展 審査委員となる

1975年(昭和50年)12代死去により 13代今右衛門を襲名

1976年(昭和51年)日本陶磁協会賞を受賞

「色鍋島今右衛門技術保存会」を改組し代表となる、文化庁より重要無形文化財の総合指定を受く

1979年(昭和54年)東京国立近代美術館主催「近代日本の色絵磁器展」に出品

53年度日本伝統工芸展出品作「色鍋島薄墨草花文鉢」を文化庁買い上げ

日本伝統工芸展NHK会長賞受賞佐賀県芸術文化賞受賞

1980年(昭和55年)日本伝統工芸展監査委員となる

1981年(昭和56年)日本陶芸展最優秀作品賞(秩父宮賜杯)受賞

日本工芸会西部支部幹事長となる

1982年(昭和57年)佐賀県陶芸協会会長に推挙される

日本伝統工芸展鑑査委員となる

1983年(昭和58年)57年に続き日本伝統工芸展鑑査委員となる

1984年(昭和59年)西日本文化賞受賞

1985年(昭和60年)日本伝統工芸展鑑査委員となる

1986年(昭和61年)紫綬褒章 佐賀県政功労賞受章

佐賀新聞文化賞受賞

1987年(昭和62年)日本工芸会常任理事に推挙される

日本伝統工芸展鑑査委員となる

1988年(昭和63年)毎日芸術賞受賞

第1回MOA岡田茂吉賞受賞

1989年(平成元年)重要無形文化財個人指定(人間国宝)に認定

ポルトガル、リスボンにて個展

日本陶磁協会金賞受賞

1990年(平成2年)ニュージーランド建国150年記念のための招待作品展

1991年(平成3年)佐賀県庁県民ホール陶壁作成

1992年(平成4年)国際陶芸アカデミー名誉会員に推挙される

1993年(平成5年)佐賀県立有田窯業大学校校長就任

1994年(平成6年)パリ・エトワールにて個展

1995年(平成7年)国際文化交流に対し外務大臣表彰

1998年(平成10年)グッドデザイン賞審議委員に就任

1999年(平成11年)勲四等旭日小綬章受章

2000年(平成12年)日本工芸会副理事長に就任

2001年(平成13年)10月13日死去


大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー

雅翔堂塩谷

営業時間 10:00~20:00(阪急うめだ本店に準じます)

Tel: 06-6313-7618

Mail:umeda@shiotani16.jp

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香炉

象嵌彩塩釜アマゾン香櫨

今井政之(1930〜2023)
略歴
1930 大阪府生まれ
1952 楠部彌弌に師事
1965 日本陶磁協会受賞
1989 ペルー共和国クスコ美術学校客員名誉教授就任
1998 毎日芸術賞受賞
2004 日展常務理事就任
2012 広島県竹原市名誉市民の称号を受ける
2018 文化勲章受賞
2023 逝去

今井政之は岡山で備前焼の修業を始め、京都で「彩埏」の技法で知られる楠部彌弌に師事しました。また象嵌法の第一人者であります。
「象嵌」とは「かたどり、はめる」といった意味であり、シリア・ダマスカスが発祥の地となる加飾法で、日本には飛鳥時代にシルクロード経由で伝来しました。
一つの素材に異質の素材をはめ込む技法の事を指します。
中でも今井政之は「面象嵌」と呼ばれる象嵌の中でも手間のかかる技法を用いて魚などを表現豊かな作品を生み出してこられました。

さて、当店にございます象嵌彩塩釜アマゾン香櫨ですが、描かれている魚が海外の大きな鯰という事で大変珍しい題材の作品となります。どこか愛らしい表情の正面顔と、悠々と泳ぐ横の姿の2通り描かれおり、どちらも表情豊かな素晴らしい作品です。


特に目の部分が立体的に飛び出しており、まるで生きているかのように感じられます。

 

 

絵だけでなく香櫨のフォルムもドテッと重厚で存在感のあるこの作品、只今店頭にて展示しておりますのでお近くに来られた際は是非ご覧になってみて下さい。

 

大阪市北区角田町8番7号 阪急うめだ本店7階 古美術ギャラリー
営業時間 10:00〜20:00(阪急うめだ本店に準じます)
Tel:06-6313-7618
Mail:umeda@shiotani16.jp

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香炉

赤繪鳳凰文香爐

本日は福島武山「赤繪鳳凰文香爐」をご紹介します。

福島武山(1944〜)

略歴
1944年 石川県金沢市生まれ。
1963年 石川県立高校デザイン科卒業。
1998年 第23回全国伝統的工芸品コンクールのグランプリ・内閣総理大臣賞等受賞
2003年 石川県指定無形文化財(九谷焼技術保存会会員)認定。
2008年 九谷焼伝統工芸士会会長に就任。
2021年 瑞宝単光章受章

幕末から明治期に石川県で盛行した、九谷赤絵細密画。それを受け継ぐ第一人者で現代に伝える名工 福島武山

 

作品の特徴としては赤色の細かな線で、小紋・花鳥・風月・人物を描き上げられています。
ポイントとして一部金彩を使用していますが、ほぼ赤絵のみで仕上げる為、線の太さの均一さと赤色の濃淡の均一さが見事なまでに描かれています。

さて本日紹介します「赤繪鳳凰文香爐」も純白の素地の上を細かな赤色の線で描かれた鳳凰をモチーフにした香炉になります。この命を吹き込まれたかのような鳳凰の絵は、躍動感があり大空を威風堂々と羽ばたいているようです。

また蓋も香炉のモチーフとしてポピュラーな蓮の花が描かれており、精緻で立体感を見事に表現されております。

 

実はこちらの作品は、皇太子殿下御成婚記念に制作された希少で貴重な作品です。

 

店頭にて展示中です。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。

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香炉

青瓷袴腰香炉

梅雨というよりもう真夏な日々が続いております。

本日は涼しげな作品をご紹介致します。

三代諏訪蘇山 青瓷袴腰香炉です。

こちらは南宋 龍泉窯青磁の写しで、中国古代青銅器の「鬲(れき)」を模した形とされていますが、日本では袴をはいたような姿から袴腰と呼ばれています。

厚くかけられた釉薬とメリハリのあるプロポーション、胴の角と褐色の足先がアクセントになっています。

火屋は銀製で四君子が透かし彫りされています。

こちらは店頭で展示中でございます。

お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。

↓東京美術倶楽部 ECモール TSUNAGUにも掲載中です。

https://tsunagu-toobi.com/ja/artworks/928?gallery_id=3